ストレイテナー以前に、ART-SCHOOLで共に活動していた大山、3人で最初に音を合わせたときに「色彩が変わるぐらいの衝撃」を受けたというホリエとナカヤマ。旧知の仲だからこそ知る日向について、ホリエ、ナカヤマ、大山に話を聞いた。
撮影:TEPPEI
グルーヴに芯があるっていう感覚を知る
大山「かな? 2000年より前かな? そこには櫻井雄一(ds)もいて、ART-SCHOOLになる前からサポートメンバーとして出会ってますね」
ホリエ「木下理樹(ART-SCHOOL)ね。これ、以外に知らない人もいるかもしれないですけど、きっかけは木下理樹ソロだったんですよね」

大山「俺が入って最初のライブから、ART-SCHOOLと名乗るようになったんですけど、そのライブで俺とひなっちが大ポカをやらかして。そこから、ライブ後に2人で凹む会みたいになって“もう1回やりたいよね”みたいな話をして、急に仲良くなりました。それまでは、俺の中でひなっちは怖い人だったんで、敬語を使っていたんですけど、そのときからタメ口になりました(笑)」
大山「ひなっちのベースで、初めてグルーヴに芯があるっていう感覚を知りました。俺は高校の頃からバンドはやっていて周りにテクニカルな人はいましたけど、ベースとして支える力のすごさっていうのを日向で初めて知りましたね」
大山「ありがたい縁といいますか、結局一緒にやってしまうんだな、俺たちはっていう。嬉しいですよね」
ホリエ「ストレイテナーとART-SCHOOLが、なんとなく仲良くなっていって。最初は、(木下)理樹と仲良くなったんですけど、何かのタイミングで、ひなっちと洋服の話とかで盛り上がって飲みに行ったりするようになって、FULLARMORも組んでいった感じですね」

ホリエ「そうですね。ART-SCHOOLと対バンで出会ってはいるんですけど。2001~2002年くらいは、下北沢SHELTERとか新宿LOFTとか、ちょうど我々の成長過程の時代で、ART-SCHOOLもQUATTROや新宿時代のLIQUIDROOMワンマンとかやって、同じく成長していった感じなんですよ」
ホリエ「最初にART-SCHOOLを見て飛び込んできた印象は、木下理樹の存在感、世界観だったんですけど、バンド自体がカッコイイなと思いました。その年代の他のバンドにはないオーラがあったんですよね。ひなっちもOJ(大山)も華があるっていうか、屈強なアンサンブルもあって」
ナカヤマ「下北沢のバンドとかよくわかんないけど、ART-SCHOOLだったら一緒にやってもいいよって(笑)。当時は、突っぱってましたね(笑)」
ホリエ「“ART-SCHOOLかSyrup16gが出るなら、やる!”みたいなね(笑)。その頃のストレイテナーはパンク寄りにいっていたので、下北沢のバンドを知らなかったしね。smorgas、FULLSCRATCH、キャプヘジ(CAPTAIN HEDGE HOG)、やビークル(BEAT CRUSADERS)とかを聴いていたので」
生音が他の人に出せない音

ナカヤマ「まさにそうです。その頃のひなっちは、ZAZEN BOYSもやり始めていて、ベーシストとして確変を起こし出していた年だから余計に、3人でガシッってはまったときは、演奏し終わって笑っちゃったというか。すご過ぎてというよりは、“すごいんじゃないか、コレは?”って。そこは、自分たちしか見てないし聴いてないし判断材料はないけど、コレは多分スゴイヤバイってやつだなと」
ホリエ「ベースが出している生音が、他の人に出せない音だって思いましたね」
ホリエ「自然体過ぎちゃって、OJの中での“初めまして、さあここから”っていう感じがあんまりなかったっていう印象ですね(笑)」
大山「俺は、“みんなと合わせることになるなんて! どうしたらいいんだろう”って緊張して行ったんですけど、波ひとつ立たないようなリアクションで」
日本の頂点のベーシスト
ホリエ「ライブのプレイスタイルは、だいぶ変わってきていると思います。もちろん、プレイスタイルとかアレンジ力もさることながら、今は、オーディエンスに訴えかけるパフォーマンスというか、ベースを弾くだけじゃなくてコミュニケーションしている感じがすごくあると思うので、今の魅力はそこにあるんじゃないかと思います」
ナカヤマ「リズム体として一緒にプレイして、まあ鍛えられましたね。まずは、おかげでリズムキープできるようになったというのもありますし、意識していなかったけど日本の頂点のベーシストと一緒にやっているから、自ずと自分が鍛えられていて、他所に出てみるとそれに気付くっていう。自分は、ラッキーでしたよね」

ホリエ「ひなっちは、自分のベーススタイルを貫くっていうよりは合わせるタイプなんで、シンペイ(ナカヤマ)のドラムに合わせるっていうのが最初からあったと思います。最初に、ひなっちと一緒に音を出して、ベースってリズム楽器なんだって、初めてわかったというか。それまでは、低音のメロディを鳴らす楽器だと思っていたんですけど、完全にドラムと一体になって補うこともあるし、曲自体の支柱になることもあるし」
ホリエ「楽曲ごとに役を演じるのを楽しんでいる感じですね。僕も、自分自身をその曲のモードに変形させたりもするので、そこもひなっちとはマッチしてます」
ホリエ「変わらないことが美学的なバンドもいる中で、ストレイテナーは変化だったり、同じ時期でもひとつにとらわれないフリーなスタンスが、純粋に音楽を楽しむ上での鍵だと思っているので、そこにおいてのひなっちのスタイルは重要ですね」
いつか地元・町田でHINA-MATSURIを

ナカヤマ「ひなっち計160分か! わ、すごい、しんどい(笑)。じゃ、テナーは全曲バラードにして、ベースがしっぽりしている曲で休んでもらおうかなと(笑)」
大山「日々忙しく、ベースをすげえ頑張っているひなっちだけど、たまには休んでもいいぜって、俺は思ってます。体を大事にしてください」
ホリエ「元々、『HINA-MATSURI』を、雛祭りの日に地元の町田でやりたいって話していたんで、いつか町田でできる日が来たらいいなって思います」
ホリエ「面白いバンドもたくさん出るので、ライブも楽しんでもらいつつ、出店しているブースも含めて楽しんでもらえたらと思います」

ホリエ「早々に曲作り、そしてレコーディングがあるので、周年にビシッとカッコイイアルバムが届けられるように頑張ります」
大山「個人的に加入10周年です。そっちもたまに気にしていただけると(笑)」