2018年、結成10周年を迎えるNothing's Carved In Stone。結成以前から付き合いのある大喜多と生形、このバンドを通して出会った村松から見たベーシスト・日向秀和とは?
撮影:中川有紀子
俺らの世代ではダントツのベーシスト
生形「オニイ(大喜多)もひなっちとは古い付き合いですけど、俺もわりと古くて。20代前半くらいに知り合って、ストレイテナーと一緒にライブをやったりして仲良くしていました。俺はずっとELLEGARDENというひとつのバンドだけをやってきて、ひなっちは、ストレイテナーとかZAZEN BOYSとかFULLARMORといろんなバンドをやっていて、俺と真逆のスタンスで、面白いなと思っていて。そして何よりは、プレイが素晴らしいなと当時から思っていたからいつか何かのきっかけがあったら、一緒にやりたいなと思っていて、2008年のタイミングが来てすぐに声をかけました」
生形「どこかにありましたね。歳も一緒で親近感もあったりして、俺らの世代ではダントツのベーシストだったから、すごく興味がありました」
生形「それはね、ひなっちが勘違いをしてますね、マックではなくドトールです(笑)」
生形「そうです」
大喜多「当時、東芝EMIに所属している新人達が集まるスタジオがあって、ART-SCHOOLとかストレイテナーとかすでにデビューをしていたZEZEN BOYSとかがリハーサルしていたんですね。そこで、リハの時間が被っていたりして存在は知っていたんですけど、実際にひなっちとつなげてくれたのはホリエくん(ストレイテナー)ですね。そのころ僕は、レコードショップにいて、そこにホリエくんやシンペイくん(ストレイテナー)が遊びに来ていて。ホリエくんとは飲み友だったので、“ご飯行こうよ"って誘われて行った店にひなっちがいて、そこで“バンドやろうよ"って始まったのがFULLARMORです」
生形「だいぶ古い付き合いだよね」
大喜多「そうですね。ひなっちは、実際話してみるまでは怖い雰囲気があったので、仲良くなるまでは自分からはひと言も話そうと思わなかったです(笑)」
村松「ですね。ナッシングス(Nothing's Carved In Ston)に誘ってもらって、初めてひなっちに会ったのは新宿の地下にある・・・・・・」
生形「焼き鳥屋」

村松「焼き鳥屋なのに、フォアグラとか出てくる(笑)。オニイがはりきって、新たしくバンド始めて、ボーカルも来るしいい店行こうぜって連れて行ってくれて(笑)、そこでひなっちとは初めて会いました。集まったメンバーはすごい人達だっていうのはわかってたんですけど、そのころ自分は邦楽を聴かなかったので。実際話をしてみて、歳も離れているしキャリアも全然違うんだけど、テンションが上がるポイントとか面白いと感じることとか人に言われて嫌なこととかの感覚が近いなって思ったのは覚えてますね。それは、ひなっちに限らずメンバーみんなそうだったんですけど。それがはじまりだった気がします」
エネルギーの塊みたいなものがプレイに全部出ている

生形「最初は、曲作りから始まったんですけど、アレンジの引き出しがめちゃくちゃ多かったし、俺が持っていったリフに対してのアプローチが、今まで聴いたことのないようなベースのフレーズが出てきて想像を超えましたね。ひなっちは、指引きとピッキングを両方するベーシストで、実は両方を均等にプレイする人ってあんまりいなくて。ひなっちは、どっちもちゃんとカラーがあるし、ピック弾きの音がすごいんですよ。ゴリゴリで、アンプに直でも、何かエフェクターをかけているんじゃないかってくらいの音をしていて。スラップもすごいし、俺はどっちのプレイも好きですね」
村松「僕は、ABSTRACT MASHとナッシングスしかバンドの経験がないので、他のベーシストと比べられないですけど、ひなっちは人間力が、ベースに表れているって思うんですよ。世の中のいろんなことを見ていて、アンテナを立てて敏感に反応して、楽しいこととか自分の好きなことを探していて。車もアウトドアも走ることも好きだし、音楽に関しても飽きずにずっと追求し続けていて、そのエネルギーの塊みたいなものがベースのプレイに全部出ていて。ジャンルレスだし、幅広いプレイもするし、歌に寄り添ったプレイもするし、ひなっちでしかないベーシストだなって思ってますね」

大喜多「音楽って、感覚を共有することだと思うんですよね。そういう意味では、ひなっちは、自分の中とかバンドの中にある感覚を大事に共有してくれる部分を強く感じるかな。だから、4人で合わせたときに高まっているんですよね、気持ちが。ニヤニヤしたり笑っちゃったりとか。プラスのことだけじゃなくて、音楽を生み出すときの苦しいときも共有してくれてバンド全体を一体化してくれるっていうか、その感覚がずっとある気がして」
生形「人間性って、絶対プレイに出ると思うんです。めちゃくちゃ上手くても、パッとしない人もいるし、ベースがあまり弾けなくてもカッコイイ人もいる。ひなっちは、技術力もすごくあるし人間力もある。それが今のスタイルにつながっているんじゃないかなって気がしますね」
生形「ライブのリハをやろうって集まったんだけど、4人で初めて音を合わせたのは、事務所のスタジオだったかな、年末か年始に。『Isolation』をやったのは覚えてる。すごいカッコイイなと思って」
生形「楽曲制作は、うちはみんながアイデアを出すんですけど、一番アイデア出すのはひなっちかな。ベースだけじゃなくて、俺にギターのフレーズを口で言うこともあるし、シンセのフレーズを言ったり。ひなっちのベースフレーズから出来る曲もアルバムで1、2曲くらいありますね」
ライブのプレイはモンスター
大喜多「モンスターじゃないですか」
生形「(笑)。よくあれだけ、動きながら弾くよね」
大喜多「本気をかけてるっていうか、本番の集中力が」
生形「ライブの集中力がホントにすごいね。“今日はちょっと無理だから、手を抜くわ、ユルくいくわ"って言うんですよ、始まる前に。そういうときは、1曲目からめちゃくちゃ動き回る(笑)」
村松「最近、毎回言ってるよね(笑)。で毎回、すごいライブになる」
生形「そうそう(笑)」

村松「業が深いなと思いますよ、ひなっちは。いろんなところに求められている人格だから、ベースプレイも含めて、だからすごいなと思うし。ナッシングスも一緒に成長してきたし、これからもしていけたらいいなと思っていますね」
生形「こういうイベントが出来るっていうのもひなっちの人柄っていうか、なかなかこうやってみんなが集まるってこともないだろうし、普通にイベントとして見ても、すごいバンドが揃ってるし。この日は、がんばってください(笑)。俺らは1ステージって、オニイは3ステージか・・・・・・(笑)」
大喜多「そうだね、セッションも入れると3ステージ。ひなっちは出っ放しで、間にLITEとYasei Collectiveを用意して、本人は休む気でいるかもしれないけど絶対休めないと思うので最後まで全力疾走で、終わったらPITの裏の川に飛び込もう(笑)」
大喜多「1日中スタンディングで、一番タフなのはお客さんですね。僕らも一生懸命ステージを盛り上げるので、ナッシングスのときに暴れてくれたら嬉しいです」
生形「これだけの規模で、ひとりのミュージシャンを中心としたイベントはなかなかない、めったに見られないイベントだと思うので、俺が言うのもおかしいけど(笑)、最初から最後まで楽しんでもらえたらなと思います」
村松「ひなっちの思いが詰まっている日だと思うので、それをとにかく感じてもらって。お客さんが楽しむのが、ひなっちが一番嬉しいことだと思うし俺たちもそうだから、最高の1日にできたらいいなと思います」
生形「2月にアルバムのリリースもあるし、ツアーもあるしいろいろ考えているので、楽しみにしていてください!」