HINA-MATSURI

INTERVIEW

ベース道四半世紀を語る。日向秀和

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“ベーシストとしてどこまでいけるんだろう”という思い

その2年間やっていた焼き鳥屋で、ある出会いがあるわけですよね?

日向「そうです。焼き鳥屋をやっていたおかげで、奇跡の糸を辿れるわけなんですけど(笑)。当時、お袋が完全に具合が悪くなってしまって入院するようになって、焼き鳥屋もひとりではまわらないし、そろそろ店を畳んで働かなきゃダメだなって思っていたときに、高校のときにいろいろな音楽のネットワークを繋いでくれた友達が店に来てくれたんです。ドラマーで“ジュン”っていうんですけど、そのジュンがブラジルに行く前に、木下理樹のソロのお手伝いをしているギタリストの友達を連れて、そのギタリストの彼に俺を“日向、ベースがめちゃ上手いんだよ”って紹介てくれて。“そうなんだ、今度聴かせてもらいたいな。今ボーカルの育成の子とやっているから、そこで弾いてみてよ”って誘ってくれて。1回弾いて3000円っていうから、小遣稼ぎで行ってみようって参加したら、(木下)理樹が一発で気に入ってくれて、そこからART-SCHOOL結成に至るわけです」

2年間のブランクもあったし、そのとき突き動かされた思いっていうのは何だったのでしょう?

日向「ベースで褒められることが嬉しかったのかな」

心のどこかには、やはりベースへの思いが捨てきれてなかったんですね。

日向「そうですね。お袋からも“25歳までやって、それでダメだったら諦めろ”って言われて、それまで全開でやってみようかなって思って。そこから、お袋の入院費を掃除屋で仮社員みたいになって稼ぎながら、ベースも弾いて平均睡眠時間3時間で突っ走っていましたね」

“当方プロ志向”に気持ちがなっていきましたね。(笑)

日向「なっていきましたね、自然と(笑)。どんどんバンドが動いていくんですよね。それがすごく誇らしかったですね。19歳くらいでバンドをやっているときに“周りから、まだバンドやってるの? どうせプロにはなれないじゃん”って言われてもいたし、その頃から考えたらなんか嬉しかったですね」

そこからART-SCHOOLがスタート、そして脱退と。

日向「ART-SCHOOLの後期は、音楽で食べていくというよりも、“ベーシストとしてどこまでいけるんだろう”っていう思いが強くなっていったんですよね。ART-SCHOOLとしての曲のアプローチも大事だったし、(木下)理樹にはすごく勉強させてもらったし、今でも大切な仲間ですけど。自分の中でのベースって、何年もかけて積み上げた本来持っていたいろんなジャンルが出来るプレイスタイルを表現したいってなったときに、限界を感じたんですよね。ART-SCHOOLをやめるってときに、別に何も決まっていたわけじゃないんですけど、自分の中で何かの決意が固まっていたというか。ベースで新たな挑戦していきたかったのかな」

その後のZAZEN BOYSも、向井さんからプレイヤーとして認められて声がかかるわけですけど。

日向「ベーシストとして認めてもらえる喜びを感じたっていうか、今思うと自信を持つことが大事だったのかなって思いますね」

“今一番ベースがカッコいい”と言える時代を俺たちで作った

ストレイテナー加入に関しても、それ以前にホリエさんとはFULLARMORも組んでいたし友達関係ではあったとは思いますけど、ストレイテナーとして日向さんのベースと一緒にプレイしたいと思っての流れだと思いますし。

日向「単純に僕がテナー(ストレイテナー)のファンだったいうのもありましたけど、(ナカヤマ)シンペイとアンサンブルを感じたくて。初めてセッションしたときには、地鳴りがしたっていうか、何かが動き出すのを感じたっていうか。テナーは運命を感じましたね。ただ、逆境でもあったんですよね、それまでテナーは2人だったわけですから、リスナーからは僕が入る真価か問われていたとも思うし。それを証明していくことは、僕にとって幸せなことだったとも思うんですよね」

そこからストレイテナーも転がり出していく中、ELLEGARDENを活動休止した生形さんからも“一緒にバンドをやりたい”とアプローチがあったわけですね。

日向「スタジオの近くのマクドナルドに呼び出されてね(笑)。ウブ(生形)のことは、単純にうちらの世代のギターヒーローだと思っていて。どう聴いてもウブだしどう見てもウブだし、それって、ベースに置き換えたときに自分が目指している像とまったく重なるし、すごく尊敬していましたよね。もう誘われて、即答で“やろう!”って、答えました。そのときも、生きがいを感じました」

ストレイテナーとNothing's Carved In Stoneは、異なるアプローチをするバンドでもありますから、ベーシストとして違う表情の日向さんが存在すると思います。

日向「ナッシングス(Nothing's Carved In Stone)のひなっちのプレイっていうのは、ピュアなのかなって思うんですよ。プレイヤーとしてのアプローチが強い、エゴからの調和というか。テナーは、物語を描く一部の表現というか、ドラマチックというか。ナッシングスは、断片的にシーンが切り替るようなコントラスト、それに刺激があるというか」

その2バンドに加えて、今はHH&MMとLOVE SESSIONと題してのセッションも繰り広げていらして。

日向「やっちゃってますね。今、自分の中で練習っていうのは、フリーセッションなんですよ。僕の中でのスキルアップになっています。ここ2、3年、(松下)マサナオ(Yasei Collective、Gentle Forest Jazz Band、ZA FEEDO)と出会ってから、急激にいろんなものが開いちゃって自由自在なんですよね。マサナオとも運命だし、これは新しいことをやっていかなきゃなって思ってるんです」

そんな様々なベースのプレイスタイルを披露してくれる日向さんが思うベースの魅力って何でしょう?

日向「今一番ベースがカッコいいんじゃないですか(笑)。KenKen(LIFE IS GROOVE, RIZE, Dragon Ash)とかハマくん(OKAMOTO’S)とか、個性的なベーシストがたくさんいて、“今一番ベースがカッコいいんじゃないですか”って言える時代を俺たちで作ったと思うんですよね、それを感じて欲しい。打楽器だけど曲もかけるし、何でもできるんですよ。そういう可能性を感じてくれたら、すごく面白いと思います。ベーシストってすごい個性的でしょ。個性が出る一番の楽器ですね」

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HINA-MATSURI

ストレイテナー、Nothing's Carved In Stone、FULLARMOR、etcで活躍し、揺るぎないミュージシャンシップを持ち、間違いなく日本を代表するベーシストのひとりである「ひなっち」こと日向秀和のベース道四半世紀を記念しての日向秀和を中心とした音楽のMATSURI!!!